実の弟に恋をしました。


それでも夕食が済む頃には、またいつもの陸に戻っていた。



「…真弥、髪」


「はいはい」



こうしてお風呂上がりに陸の髪を乾かすのも、日課になっている。

陸いわく、このひとときが一番幸せなんだとか…。


まぁ、あたしも幸せだけど。




───。


陸の髪を指先でとかしながら、あたしは梓ちゃんのことを考えていた。


そういえば梓ちゃん、隣町に越してきたって言ってたっけ…。

わざわざこっちに戻ってきた理由って、いったい何なんだろう──。

梓ちゃんは「ワケあり」って言ってたけど…。



「……真弥?」


「っ!」



陸の声で、ハッと我に返る。


──やば。


完全に手が止まってた。





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