実の弟に恋をしました。
「…りっくん。待ってたの?」
「単刀直入に聞く。お前の目的は何だ」
玄関から何食わぬ顔で出てきた梓の前に、強引に立ちはだかる。
端から見たら、脅迫とかそんな光景にも見えるだろう。
だけど俺は、なりふりなんて構ってる場合なんかじゃなかった。
「…りっくん、あたしのことが怖いんだ?」
クスクスと不気味な笑みを浮かべて、梓を俺を見上げた。
「安心してよ。あたしは久しぶりに真弥ちゃんに会いたかっただけだし」
「……」
「でも、真弥ちゃんが知ったらびっくりするよね。
実の弟が真弥ちゃんを“女”として見てるだなんて──…」
……やっぱり。
こいつは、最初からこれが目的だったってワケか。