実の弟に恋をしました。
「寒くない?」
「平気だよ。着込んできたし」
「よろしい」
陸と二人、寒空の下を歩く。
周囲を気にしてか、少し距離を置いて歩く陸の背中が寂しくて、あたしは思わずかけ寄った。
「真弥?」
「…先に行っちゃ、やだよ」
そう言って、頬を膨らませてみせる。
だって、寂しくなるんだもん。
すると陸は、フッと目を細めて、優しい笑みをあたしに向けて言った。
「…分かった。ごめんな?」
そして、ポンポンと、まるで子供をあやすみたいにあたしの頭を撫でてくる。
「もう、子供扱いして!」
「でも実際、そうだろ?」
「なっ!陸なんてまだ高校生のくせに!」
ついついムキになるあたしに、陸はクスクスと笑い続ける。
…もう。
これじゃどっちが年上か分かんないよ。