実の弟に恋をしました。
そう思ったら、なんだか嬉しくなって。
「…わっ!真弥っ…」
わざと見せつけるように、陸の腕に絡みついた。
この映画館なら知り合いに会う可能性は少ないし、少しくらい、いいよね?
「ま、真弥!まずいって」
慌てて引き離そうとする陸の手を、強引に繋ぎ止める。
「誰も見てないから平気だってば」
なんて言いつつも、少しだけ楽しかったり。
だって陸、めちゃくちゃ目立つんだもん。
現に、さっきから女の子が何人も陸を振り返ってはヒソヒソと耳打ちしてる。
所々で、「かっこいい」なんて囁かれて。
あたしはそんな声を聞くたび、ちょっとした優越感に浸っていた。