実の弟に恋をしました。



ムッと頬を膨らませるあたしに、陸は「嘘だよ」と笑ってあたしの頭に手を乗せた。


そのしぐさだけで、あたしの怒りは静まっていく。


我ながら、単純すぎる。



「真弥?手、繋ごっか」


「えっ……でも…」



繋ぎたい。

繋ぎたいけど、もし誰かに見られたら…。


「もう暗いし、誰も見てないよ」


──グイッ


返事をする前に、陸はあたしの左手をギュッと握りしめた。



「真弥の手、あったかい」

「…陸も」



繋いだ手から、陸の体温が伝わってくる。



……シアワセ。




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