実の弟に恋をしました。
「…貴方たち、何してるの?」
――ビクッ。
ふいに背後から聞こえた声に、心臓が跳ねる。
「…お、お母さん」
振り返った先には、いつもと変わらぬお母さんの姿。
玄関先で佇むあたしたちを見て、不思議そうに首を傾げていた。
「二人で出かけてたの?」
「…久々に姉貴と映画観てきたんだ」
あたしの代わりに、陸が答えた。
「そうなの。そんなところに突っ立ってないで、中に入りなさいよ」
お母さんは、特に気に止める様子も無く、スタスタと玄関へ入って行く。
……びっくりした。
心臓、止まるかと思った。