実の弟に恋をしました。
「……梓しかいない」
部屋に入るなり、陸は頭を抱えてそう呟いた。
…そんな……。
未だに信じられないよ。
あの梓ちゃんがこんなことをする子には、どうしても見えない。
「…明日。ちゃんと話してくる」
「陸…」
「このままアイツの好きにさせるかよ…っ」
──ダンッ!
悔しそうに、陸が握り拳を壁に当てる。
「……陸、だめだよ。手、痛いでしょ」
赤くなった陸の右手に、そっと触れる。
陸は一瞬目を見開くと、すぐに重ねた手を握り返してくれた。
「お前のことは、俺が必ず守るから」
……うん。
あたし、陸を信じるよ……。