実の弟に恋をしました。





「……梓しかいない」



部屋に入るなり、陸は頭を抱えてそう呟いた。



…そんな……。


未だに信じられないよ。


あの梓ちゃんがこんなことをする子には、どうしても見えない。



「…明日。ちゃんと話してくる」


「陸…」


「このままアイツの好きにさせるかよ…っ」



──ダンッ!



悔しそうに、陸が握り拳を壁に当てる。



「……陸、だめだよ。手、痛いでしょ」


赤くなった陸の右手に、そっと触れる。


陸は一瞬目を見開くと、すぐに重ねた手を握り返してくれた。




「お前のことは、俺が必ず守るから」





……うん。


あたし、陸を信じるよ……。




< 267 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop