実の弟に恋をしました。





「……遅い。7分遅刻」


「ご、ごめん。電車が遅れてて」


乱れた息を整えながら、両手を合わせて頭を下げる。

二週間ぶりに会った雄司は、明らかに不機嫌な顔であたしを待っていたんだ。


ふと足元を見れば、煙草の吸い殻が5、6本転がってる。


「真弥の乗った電車はたった4分の遅延のはずだ。走れば充分約束の17時に間に合うよ」

「……今度からは気をつける」

「分かったならもういいから。さ、映画急ごう」


そう言って差し出された左手に、少し戸惑ってしまう。

さっきから、由紀の言葉が頭から離れないんだ。


「真弥?」

「あ、ごめ…行こう」



駄目だ。


とりあえず今は、久しぶりのデートを楽しまなきゃ。

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