実の弟に恋をしました。
「ほら、顔あげて」
再び、雄司が言う。
待ってよ……。
なんで強制されなきゃいけないわけ?
「ちゃんとスクリーンを観なさい、真弥」
「やだ」
「真弥!」
「やだってば!!」
………あ。
気づけば、館内にはあたしの叫び声が響いていて。
周りの客の視線が集まり、あたしはハッとして雄司の顔を見上げた。
「……真弥、ごめん」
よほど傷ついたのか、雄司は頭を下げ、情けない声でそう呟いた。
「あたし……帰る」
「真弥!!」