実の弟に恋をしました。



「…真弥。大丈夫?」


じっと耳を傾けていた由紀が、あたしの手を握った。


「…うん」


あたしは、大丈夫だよ。


でも──……



「慶太さん。お願いがあります」


「何?」


「雄司と、ずっと友達でいてあげてください!多分雄司は、慶太さんがいなくなったら本当に孤独になってしまうから……」


「……真弥ちゃん」



お人好しだってことくらい、自分でも分かってる。


でも、一度は好きになろうとした人。

過剰な束縛をするほど、強い愛情をくれた人。


そう簡単に、嫌いになれるわけが無かった。




「…分かったよ。真弥ちゃんは、優しいね」


「優しくなんか、ないです」




もしかしたら、あたしは雄司に自分を重ねていたのかもしれない……。


立場は違えど、不幸な境遇にいることは同じだから。


< 302 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop