実の弟に恋をしました。
雄司の制止を振り切り、逃げるように映画館を飛び出した。
まだ心臓がバクバクいってる…。
あたし、初めて雄司に怒鳴ったんだ。
…でも、限界だったんだよ。
今日の雄司は、いつになく異常に見えたから。
「そうだ…由紀」
電話をかけようと、スカートのポケットに手を入れる。
でも、待てよ。
こんなこと相談したら、余計に心配かけちゃうよね。
ただでさえ、由紀は心配性なところがあるから…。
あたしは携帯を再びポケットにしまい、夜の商店街を急ぎ足で歩き始めた。
とにかく、早く帰りたい。
今日のことは忘れたい。