実の弟に恋をしました。
『分かんないかな。昨日一緒に飲んだ、雨宮だけど……』
……!
「あっ!」
思わず、声を上げる。
そうだ。
この人が、雨宮さん。
昨日、あたしを家まで送ってくれた人。
『思い出した?』
電話の向こうから、クスクスと笑い声が聞こえる。
「はい!あの、昨日はとんだご迷惑を……」
姿も見えない電話の相手に、ペコペコと頭を下げる。
『あぁ、いいって。それより無事に帰れて良かったよ』
「…ほんと、すみません」
『ううん。あ、それよりさ』
「はい」
『弟さんに、怒られなかった?』
───え?