実の弟に恋をしました。
「…どうした?」
僅かに開いたドアの隙間。
「……陸っ」
そこに在ったのは、久しぶりに見る陸の姿。
たった数週間離れていただけで、こんなに懐かしく思えるなんて。
胸がキュッと締め付けられて、涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。
「…真弥?」
「──教えてよっ!」
「え…」
「陸の本当の気持ちを教えて!」
あたしは、陸を信じたい。
あの言葉を。
あの約束を。
だから、ちゃんと陸の口から言ってほしい。
「…梓ちゃんから、ネクタイ預かったの。陸、梓ちゃんとつきあってるの?」
お願い。
否定して、陸。
…だけど、無情にもその願いは通じなかった。
「──つきあってるよ」