実の弟に恋をしました。
それは、一瞬の出来事だった。
突然ドアが開いたと思ったら、次の瞬間にはあたしの手から携帯が奪われて。
目の前には………
「………り、く」
ずっと探していた、陸の姿があって。
「親父!姉貴には関係ない。とにかくあとでちゃんと話すから。じゃあなっ」
そう言って、陸は一方的に電話を切った。
そして、
「…真弥っ」
座りこむあたしにかけ寄ると、ギュッと抱きしめてくる。
ドクドクと荒い脈を打つ陸の心臓に、あたしは改めて事の重大さを実感した。
「…陸…。バレちゃったよ…?」
「大丈夫。大丈夫だから!」
その言葉に、根拠が無いことぐらい分かってる。
けれど、今はとにかく何かにすがりたくて、必死に陸の背中に手を回した。