実の弟に恋をしました。


それは、一瞬の出来事だった。


突然ドアが開いたと思ったら、次の瞬間にはあたしの手から携帯が奪われて。



目の前には………




「………り、く」




ずっと探していた、陸の姿があって。






「親父!姉貴には関係ない。とにかくあとでちゃんと話すから。じゃあなっ」



そう言って、陸は一方的に電話を切った。



そして、



「…真弥っ」



座りこむあたしにかけ寄ると、ギュッと抱きしめてくる。



ドクドクと荒い脈を打つ陸の心臓に、あたしは改めて事の重大さを実感した。





「…陸…。バレちゃったよ…?」


「大丈夫。大丈夫だから!」





その言葉に、根拠が無いことぐらい分かってる。


けれど、今はとにかく何かにすがりたくて、必死に陸の背中に手を回した。



< 347 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop