実の弟に恋をしました。





家族の崩壊の瞬間を、



初めて目の当たりにした。







「あんたたち…」



フラフラとした足取りで、お母さんが近づいてくる。



そして、次の瞬間。




──ガッ!




「離しなさい!離しなさい!」


「ゃっ…」




力任せに、お母さんはあたしと陸の繋がれた手をほどこうとする。



「痛っ…」



痛いよ、お母さん。



長い爪がめり込み、微かに血が滲み出す。



それでも陸は、あたしの手を強く握ったまま、決して離そうとしない。




「どうしてよっ!あなたたちは私の子!血が繋がってるのよ!!」



その声は、みるみるうちに嗚咽に変わっていく。


力尽きて崩れ落ちるお母さんに、




「…ごめんなさい」




そう言葉にするのがやっとだった。




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