実の弟に恋をしました。
シンと静まり返るリビングには、お母さんの啜り泣く声だけが響いていた。
いつもなら、今ごろ4人で笑いながら食卓を囲んでたのに…。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
「……お母さん…」
震える肩に、そっと手を置く。
けど……
「…嫌!」
パシッ、という鈍い音を立てて、お母さんがあたしの手を振り払った。
「…て行って…っ」
「……」
「出て行きなさいっ!」
──…そう、だよね。
お母さんはきっと、あたしと陸が関係を持ってしまったことも、全部見透かしてるんだ。
「…真弥。もういいから。行こう」
陸が、あたしの肩を寄せる。
「待ちなさい陸!どこへ行くんだ!」
お父さんの叫び声を背中に浴びながら、あたしと陸は静かにリビングを後にした。
第21章 おわり