実の弟に恋をしました。
「SM趣味!?」
「しー!真弥、声大きい」
あたしの声に、由紀が慌てたように口を塞ぐ。
「ご、ごめん…」
でも、空いた口が塞がらない。
まさか雄司にそんな性癖があったなんて──…。
「前の彼女にもそれが原因でフラれてるみたい。慶太さんも友達だから、心配してるみたいなんだけど…」
「…そ、なんだ……」
恋愛経験0に等しいあたしにとっては、どれも信じがたい事実ばかりで。
──頭が混乱しそう。
「そうゆう性的嗜好がある人って、いつかDVに発展するケースが多いんだって」
「…DV」
「まぁ、雄司さんがそうだとはまだ言い切れないけど。少なくとも予備軍ではあると思う」
「………」
実をいうと、あたしと雄司は未だにエッチをしていなかった。
というのも、あたしがまだ、心の準備が出来てなかったから─……。
これは、不幸中の幸いというべきなのか。
もし体を許していたら、酷い目に遇っていたかもしれない。
そう思ったら、ゾッとした。