実の弟に恋をしました。


「お客様、ご注文お決まりですか?」


そわそわと落ち着きのないあたしを見兼ねてか、店員さんが声をかけてくる。


「…あ、じゃあ、アイスコーヒーひとつ」


「かしこまりました」


「あ、俺はアメリカンで」



……え?


思わず息を飲んだ。


「雄司……」


いつの間に来たの?



呆然とするあたしに、雄司はいつもと変わらぬ笑顔で言った。


「誰かと思った。あんまり派手だから」


「……」


「それは僕に対する当てつけのつ
もり?それとも……

    誘惑してる?」


──カタン。


雄司が、身を乗り出して顔を近づけてくる。


「…っ」

あたしは恐怖心から、思わず目を反らして俯いた。



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