実の弟に恋をしました。
「ハァ…陸、待ってよ」
「…あ、わりぃ」
ちょうど家の近くの公園まで来たとき、陸はようやく足を止め、掴んでいた手を離してくれた。
「…陸、髪の毛、濡れてるよ?」
傘を忘れて歩いてきたものだから、二人ともずぶ濡れだ。
あたしは、バッグからタオルを出して、陸の髪に触れた。
「……姉貴」
「なに?」
「あのさ、さっき言ったことだけど…」
「……うん、分かってるから大丈夫だよ?」
陸は、あたしをかばってくれただけ。
本心じゃないってことぐらい分かってるよ。
──でも、すごく嬉しかった。
あたし、変かな?
雄司にあんなに酷いことを言われたのに。
陸のあの言葉に、こんなにドキドキしてる──。
その時だった。
ふと、頭の中で聞こえたような気がしたんだ。
“陸は弟だよ”
って────。
第三章・おわり