実の弟に恋をしました。
実際、陸はモテた。
いや、たぶん現在進行形でモテモテなんだと思う。
携帯電話が無かった頃、家にかかってくる電話の殆どは陸目当ての女の子からだった。
バレンタインには、毎年山ほどのチョコレートやらクッキーやらを抱えて帰ってくる。
「…マヤ、食べるの手伝って」
なんて、泣きそうになりながら頼んできてさ。
その頃はまだ純粋だったっけ。
2年前の夏、あたしは初めて修羅場という場面に居合わせてしまった。
帰宅したと同時に聞こえてきた、女の人の金切り声。
見れば、二人の女の子が陸をめぐって言い争いをしている最中で。
「あたしが先に陸君に告白したんだから!」
「はぁ?あたしなんだけど!」
とかなんとか、まるで昼ドラのワンシーンのようなやり取りをしていた。
その頃からかな。
陸=プレイボーイというイメージが定着してしまったのは……。