実の弟に恋をしました。



「…真弥、君は、」


雄司の冷たい指が、あたしの唇をなぞる。


「まるで、赤ずきんちゃんみたいだね……」


「……雄…司?」


「騙されて、のこのこついてきちゃったわけだ」


「……え?」



“騙されて”──!?



「嘘…だったの?」


「今更気づいた?」


「両親が事故で亡くなったっていうのも、全部、」


「真弥は心が純粋なんだね。少しは疑おうよ」




───嘘、でしょ?



だって……そんな……



『前に進みたい』って、そう言ったじゃない…!


全部嘘だったってこと?




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