実の弟に恋をしました。
ふいに響いたインターホンの音。
拳をギュッと握り締める。
……今だ。
「助けて!助けてください!!」
「…ちっ、テメぇ」
雄司が、慌ててあたしの口を塞ぐ。
「大熊さーん?いるんですかー?」
宅配便か何かだろう。
あたしたちの気配を感じとったのか、ドアの向こうでしつこく声をあげている。
「大熊さーん。お届け物でーす」
「…クソ」
その時。
あたしの口を押さえていた雄司の手が、一瞬だけ緩んだ。
───ガリッ。
思いっきり、歯を立てる。
「ってぇ!!」
左手を押さえ、倒れ込む雄司。
その隙をつき、あたしは勢いよく走り出した。