実の弟に恋をしました。



──ガチャ。


「あ、宅配便です。…って、うわぁっ!!」


段ボールを抱えた中年のおじさんと、正面衝突する。


「だ、大丈夫かい?」


「……っ」



返事もせず、あたしは必死で走り去った。


途中、何度も何度も後ろを振り返りながら。



恐怖でガクガク震える足を引きずりながら、ようやく商店街まで辿り着いた。



震える手で、携帯を取り出す。

ただ無我夢中で、発信ボタンを押した。







『…もしもし?姉貴?』



「陸っ…助けて…うっ」



嗚咽で、言葉にならない。


それでも陸は、何かを感じとったのか、



『っ、すぐ行く!』



そう言って、場所も聞かずに電話を切ったんだ。



< 88 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop