実の弟に恋をしました。
「──姉貴!」
路地裏でうずくまっていたあたしを見つけ、陸がかけ寄ってくる。
よほど急いだのだろう。
息は乱れ、靴は履き違えたまま。
「……陸っ、あたしっ」
「大丈夫!大丈夫だからっ」
ぎゅうっと、陸の腕があたしの体を抱きしめる。
商店街の真ん中。
道行く人たちが、好奇な目であたしたちを見る。
それでも構わずに、陸はただ黙ってあたしを抱きしめる。
「…あたし、怖くてっ…」
「うん」
「…足、震えてっ…、」
「うん」
まるで小さい子をあやすように、陸の手があたしの頭を優しく撫でる。
陸の広い胸に顔を埋め、あたしは子供みたいにただただ泣き続けていた──。