‐最愛‐
「ごめん…っ」

私は小さな声で呟いた。




「なぁ…今日暇?
俺ん家こやん?」


「…え?」

私は翔太のいきなりの
誘いに驚き言葉が出なかった。


「あ゙~…ごめん。
やっぱ何もない!」

翔太は力を緩め
私の肩に顔を置く。




「……何もしやん?」



「あ~…うん。多分。」


翔太はフッと笑いながら呟く。


「何もしやんねんやったら
行ってあげてもいいけど?」


私はそう言って立ち上がり
翔太の顔を覗き込んだ。

「分かったよーだ」

翔太はすねた顔をしながら
立ち上がり私に軽くキスをした。


「…ほら。行くぞ。」

そう言って私の手を握り
教室に戻った。


ガラガラガラ…


皆は私達に目を向け
驚いた表情をしている。

「え?お前ら付き合ってんの?」

木村が目を丸くさせ
大声で叫んだ。


「おんっ!」

翔太はそう言って席につく。

そして私も席についた。


「聞いてないって~!
てかお前アイツどうすんねん。」


翔太は不機嫌そうな顔をし

「もう終わったから。」

と呟き顔を伏せた。






『お前アイツどうすんねん。』

木村が言った言葉が
心の中をモヤモヤしていく。

そして私も顔を伏せ
目をつぶった…
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