‐最愛‐
「あ~い~り~」


パッと顔を上げると
翔太が私の名前を呼んでいた。


「…え?今…?へっ?」

私は寝ぼけていて
意味不明な発言をしていた。


翔太は私の発言に
ケラケラと笑いながら

「もう学校終わったで~?
はよ帰るぞ。ちーび。」

そう言って私の鞄を持ち
スタスタと歩いて行く。

私は慌てて翔太を追いかける。



「なあー…
ずっと待っててくれてたん?」

私は翔太の顔を覗き込み
そう呟いた。


翔太は髪の毛を触りながら

「当たり前ぢゃ!」

そう言って耳を赤くしていた。


「ふ~ん。ありがとうねっ?」


「待たせたお礼に
チューして?」


翔太は足を止め
私の顔見つめ言う。


「はい?」

いきなりの言葉に驚き
翔太を睨みつける。


「だ~か~ら~。
チューしてっ?」


「嫌っ!!」


「もー知らん。」

翔太はそう言って
すねながらスタスタと歩いた。


『そんなん恥ずかしくて
出来るわけないやんかっ!!』

心の中でそう思い
翔太の後を追いかける。


「も~待ってよっ!」

「いや~」

「あっそ~!」

そんな会話をしながら
翔太は自転車に乗り
私を後ろに乗っけた。
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