‐最愛‐
男は黙って私を抱き寄せた。


私は抵抗したけど
力が強くて出来なかった。



「俺にはお前の気持ち
なんか分からんよ。

でもお前が辛いって事ぐらい
俺だって分かるわ。」


そう言って背中をポンポンと叩き


「彼氏か…?」


小さく低い声で呟いた。




私はコクリと頷いた。


そして男は私の体を離し
近くの公園へと連れて行った。


私はベンチに座り俯いていた。






ヒヤッ


ほっぺたに冷たい物が当たる。


私は顔を上げると男は
ニコッと笑い私にジュースを
渡し隣に座った。


「…ありがと」


そう呟きジュースを飲む。



「で…何があったんや?
俺で良かったら聞くけど。」

そう言って私の方を見つめる。




「………………………

うちな…。初めて好きになった
彼氏がおるねんやんかぁ…

でもその彼氏には…

まだ別れてない彼女がおってん。」



その男は黙って
私の話を聞いてくれた。
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