ウォールフラワー
「わあっ!えっ…えっ…」

先生は驚いている。

そりゃあ私抱きついてるしね。


「ちょっ…高橋…!?なんでお前抱きついて…」

「だって先生泣いてましたから…」

その姿が小さな子どもみたいで抱きしめてあげないとどこかへ消えてしまいそうだったから。

「そうか…俺また泣いて…っていつまで抱きついてんの?」

「え?」

あわてて私は抱きついていた体を先生から離した。

よく考えてみれば何してんの私!!

変態悪魔に自分から抱きつくなんて…!


「…何しにきたの?もしかして俺を抱きしめに来たとか?」

そう言って悪魔はにやりと笑った。

「そそそんなわけないじゃないですか!!誰が悪魔なんかに…」

「悪魔…?」

あぁぁ!口が勝手に…。

「へぇ~。俺のこと悪魔とか思ってるんだぁ?」

「いっいえっ!滅相もございません!!」

「ふ~ん。せっかくお前の画像消してやろうと思ってたのにな~」

画像…?


あ そうだ画像だ!!

画像を消してもらわなきゃ!!

「ごめんなさいぃ!画像だけはお消しくださいぃぃ」

「…いいよ。消してやる。そのかわり…」

そのかわり…?


「今さっきあったことは黙っとけよ」

今さっきあったこと…?

えと…先生が泣きながら寝てたこと…だよね。


「はっ はい!黙っときます!お墓に入るまで言いません!」

「…ぷっ。お墓に入るまでとか…。まあいいか」


そう言って先生はポケットからケータイを出しその場で私のぶさいく画像を消去した。


「先生…さっきどうして泣いてたんですか?」

私は気になっていたことをきいてみた。

すると先生はゆっくり微笑んだ。

でも私には笑っているようには見えなかった。


まだ…泣いてる。

先生はまだ心の中で泣いてる。


そう考えずにはいられない表情だった。
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