ウォールフラワー
少しだけ顔をあげると心配そうに私をみつめる先生と目が合った。


…悪魔のくせに。

そんな顔しないでよっ…。


「せんせ…」

「…ん?」

「私…ね……」

「うん」

「……………」


"隼人にキスされた"

その一言がなかなかでてこない。


「…ゆっくりでいいから……」

そう言って先生は私の頭をなでた。


今は…悪魔なんかじゃない。

なんか…安心する…。

もっともっと…近づきたい。

「せんせ…ぎゅっとして……」

先生は少しだけ驚いたあと私を大きな腕で抱きしめた。

隼人のときとはちがい あたたかい何かがこみあげてくる。

私も先生の後ろに手をまわし抱きしめ返した。
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