ウォールフラワー

こういうときにだけ優しいの。

ひきょうだよ 先生…。


でもきっと私は期待してたんだ。

先生が私をなぐさめてくれるのを期待してた。

頭は期待していなくても私の体はここにきた。

……先生のぬくもりを求めて。



ドクンドクンと心臓がはねる。

この振動は…私のもの…?

それとも……先生のものだって思ってもいいのかな…?


「高橋…」

先生の声で我に返る。

いつの間にか涙はとまっていた。

「ごっ…めんなさい…。変なこと言っちゃって…」

そう言って離れようとすると先生の腕がそれを阻止した。

「待てよ」

私はまだ腕の中…。

先生の息がかかるくらい近い距離。

頭上にはすぐに先生の顔があって…私は下を向いたまま動けない。


「何があったか…話してくれないか?お前が泣いてるのみてんのは…つらい」

え…?

「力になりたいんだ」

力になりたい…?

単純に嬉しい言葉。

でもそれは…生徒として?

それとも…


「隼人に告白されて…キスされたんです」

「隼人って…」

「さっき保健室にいた…」

「あぁ…あいつか……」

そこから黙り込む先生。

そんな軽い反応なんだ…。

私のキスがどうだなんて先生には関係ないもんね…。


また私の涙腺がゆるむ。

さっきとはちがう理由で流れそうになる涙。


ゔ〜 泣くな馬鹿麗奈!!


「でも先生のおかげですっきりしました!」
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