ウォールフラワー
少しだけ顔を上げて極力笑顔で言ったつもり。

先生の顔をみるとひどく悲しそうな顔をしていた。


なんでそんな悲しそうな顔するの…?


「…本当か?本当に…もう大丈夫なのか…?」

「はいっ!」

本当は…うそ。

でも今はファーストキスのことなんかよりも先生のことばっか頭に浮かぶよ。




やっと気付いた。

私…先生が好き……。



そう思うと今の状況にちょっと赤面。



「…そうか」

そう先生は小さくつぶやき私を抱きしめていた腕をゆるめた。

急にさみしくなる体。

でも私はすぐに離れて先生に背を向けた。

そうじゃないとまたすぐに先生に抱きついてしまいそうだったから。

"さみしい"とつぶやいてしまいそうだったから。

そう口走ってしまう前に…。


「お世話になりました」

そう笑って頭をさげた。

冗談っぽく笑ったつもり。

顔をあげると先生は微笑んで

「おう。また明日な!」と言った。


私は早足で教材室をでる。

でた瞬間 涙があふれだした。


「ゔあぁ〜…」

あーぁ

なんで先生のことなんか好きになっちゃったんだろう。

…平岡陸人なんか大嫌いだったのに。

初対面から失礼な人で 嫌がらせみたいなことをしてくる人なのに。

出会って一週間もたってないのに…っ


「どうして…私の心をもってっちゃうのよぉっ…!」

廊下で1人泣き続ける私。

…それはもうわんわんと泣き叫ぶ。


だって涙がでてくるんだもん〜っ!

とまんないよ〜〜っ!!
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