ウォールフラワー
「…隼人。お前麗奈ちゃんとキスして嬉しいとか思ってんじゃないだろーな?」

ぎくうっ

すっ…するどい…。

俺はなんとも言えなくて下を向いた。

コト…と瞬が飲んでいたコーヒーをテーブルに置く音がした。


少し間があって瞬が話し出した。

「お前のまっすぐな気持ちはうらやましいくらいたいしたもんだよ。ただそれは…麗奈ちゃんを傷つけるためにある想いじゃねえだろ?」

そんなの…当たり前だろ…。

「純粋な奴ほど相手を想いすぎてまわりみえなくなるんだよ。…ゆっくり考えてみろ。なんかあったら電話でもメールでもしてこい」

そう言って瞬はカバンを持って立ち上がった。

瞬の言葉に涙腺がゆるむ…。

俺…麗奈の気持ち考えてなかった…。


「……瞬っ…」

「ん?」

「ありがとな…」

「…ん」

短い返事をして瞬は店を出て行った。


…たいした奴だよ。


…………お前の彼女もな。



急いで残っていたジュースを飲み干し 店をでた。


明日…ちゃんと麗奈に謝ろう。

そして…もう一度だけこの想いを伝えるんだ…。
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