苦いコーヒー

嫌な奴

 
 でも、時間なんて戻りゃしないんだから。
 いっそのこと、記憶なんて都合よく。
 
 もし、あいつを憎めたら、嫌いで嫌いでしょうがなくなって、
 嫌な想い出ばっかりになったら…
 
 楽、だろうな。
 
 もっともっと、苦しまなくてすむんだろう。
 
 なんでだろう?
 うまく、いかない。


 「ばか」


 聞こえるよ、声。
 なんでそうやって笑ってんだ。
 
 傷ついててくれたら嬉しい。
 もっと辛い顔、してて欲しい。

 嫌らしいな、自分がこんなに嫌な人間だなんて。
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