時を越える愛歌
真っ暗で肌寒い夜の道をあたしは走って章大を探した。


近くの公園、コンビニ、よくギターを弾いている小さな川が流れている小高い丘、隆平くんの家…

他にも思い当たる場所は探した。



それでも章大は何処にも居なかった。


最後にマンションの屋上に行ってみる。





「やっぱり居らんか…」





あたしは小さなため息を残し、屋上を後にした。

探しても居らん限り、どうすることも出来ひんよな…



あたしは一旦家に戻ることにした。

章大にメールしても返って来ーへんしね…



ドアノブに手をかける。

あれ?あたし鍵閉めたはずやけどなぁ…


そう思いながらドアを開ける。





「…」





ドアを開けた瞬間、知らない女と抱き合ってる章大が居た。



ね…どういうことなん?

頭がついて行かへんよ…

抱き合ってるのは誰?

章大の大切な恋人?


愛してる…の?




章大…答えて…




章大と目が合った。

それでも同様せず、あたしを見つめるんやね…


ねぇ、あたしそんなに強くないよ…

こんなん見て絶えれるほど

大好きな人が知らない女と抱き合ってるのを見て黙ってられるほど



強くないよ…





「…っ」





あたしは一粒の涙を残し、ドアを開けて飛び出した。

章大を最後に見つめて…






ばいばい、章大…







< 68 / 112 >

この作品をシェア

pagetop