時を越える愛歌
那「ううん…もうええの」

安「この関係は…もうやめよう」

那「…うん」

安「こんな僕を…憎んでくれてかまわんよ」





そう告げて、僕は立ち上がった。





暗闇の中を闇雲に走り回り

見えない希望を掴もうとする


欲しいものを必死に手に入れようとしても

あたしに光が差すことはなかった
丸「柚葉…章と何かあった?」

柚葉「っ…」

丸「そっか…」





肩を震わせて小さく頷く柚葉に、僕は何もしてあげられなかった。

こんな時に安がいれば…



そんなことばかり考えていた。

結局2人は素直になれなくて、お互いを傷付け合ってるんや…





丸「とにかく…そこの公園に移動しよ?」





そう言って僕は柚葉の肩を抱きながら目の前にある公園へと歩き出した。


1本にかない電灯は明るく光を放っていて、今の柚葉には十分過ぎるほどの光やった。



ゆっくりとベンチに腰かける。





丸「もし良かったら…話してくれへん?」

柚葉「…うん…」





柚葉は話し出した、今日起こったことを。



二人の意見が噛み合わなくて口論になり、章が出て行ってしまったこと。

自分の考えがおかしいと気付き、章を探し回ったこと。

一旦家に戻ると、章が彼女を抱き合ってたこと。

自分の身体を憎んだこと。


章への想い…




全部全部、話してくれた。

ずっと表情一つ変えず、一点を見つめて。


話を聞き終わると、何故か僕の目には涙が溢れていた。
美花「も、自分のしてることに意味がないように感じて来て…」

丸「…」

柚葉「“何でここに居るんやろう”…って」

丸「…」

柚葉「こんな思いをするぐらいなら…」

丸「…」

柚葉「好きになんか…なりたくなかったっ…」

丸「…柚葉」

柚葉「もう…いっぱいいっぱいなんよっ…!」





隆平くんの前では泣かないでおこうって決めたのに、堪えきれずに涙が溢れてきた。
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