時を越える愛歌

夕日を見上げるように上を見ながらあたしは呟いた。





柚葉「章大のこと、愛してる」





ジャンプするように地面に着地して、章大に伝えた。

“ありがとう”


声は出ないけど、きっと章大になら伝わるよね。

絶対に、伝わったはず。




ごめんな、こんな彼女で。

章大とずっと一緒にはおられへんかった。

約束、守られへんかったな。


ごめん…



でも、この世界の誰よりも

あたしは幸せでした。
木の棒で地面に「ちょっと時間おいてから家帰って」と書いて立ち上がる。


ぎゅっと章大に抱きついて、ありがとうの意味も込めて口付けを交わした。

ほんとうに、ありがとう。



そして、さようなら。






切ない気持ちを押し切りながら章大から離れ、背を向けて歩き出す。





章大「僕も柚葉のこと愛してるからっ！」





後ろから聞こえる章大の声に涙を流しながら大きく頷いた。

章大から離れたくないよ。
ずっと一緒にいたかったよ…