記憶を持つ者
再び真っ白になった頭で、色々考えた。


きっと、そうなんだろう。


好きという気持ちを理解できなかったのは、そのせいだったのだろう。


疑うというよりも、謎が解けた感覚。


と、その時。

部屋の扉が重い音をたてて開き、一瞬にして背筋が凍るような空気が部屋に満ちた。


「まさか、世界で最高と謳われた種族の中でも、選ばれし者が…こんなにも弱く下等な種に生まれ変わるとはな。」


そして、威圧感のある低い声が響いた。


姿を現したのは、統治が最も困難とされるこのワールドの、王。


「久しぶりだな、魔王。…ユイをあまり怖がらせんなよ。」


「ま…魔王……?」

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