記憶を持つ者
魔物は、よく本で見るような悪魔にそっくりだ。

羽があって、爪と牙が長くて、背は私と同じくらいの160cmくらい。

眼は、獲物を前にしてギラギラと光っている。


…獲物……


私か。


不思議と落ち着いた気分で、観察をしていた。

それは、3匹が喧嘩を始めた事だけではなく、魔王に比べて迫力がないのが理由。

全然違う。

魔王は、格が違うんだ。


「ねぇ、そこの魔物。ちょっと良いですか。」

「?」

「魔王に会った事って、あります?」


これは、私なりの賭けだった。
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