記憶を持つ者
一瞬ピタッと止まった彼らは、奇妙な顔でさらに近付いて来た。

その中の一匹が、ズイッと私の顔を至近距離で見ると、首を傾げて離れた。


「魔王様ヲ、知ッテイルノカ?」

「まぁ…さっき会ったんで、知らなくはないけど…。」


彼らは、その一言に明らかに同様し出した。


「アノ、魔王様ダゾ!?」

「嘘ヲツクナ!
…“様”ヲ付ケズニ名ヲ呼ブ、無礼者メ!!!」


―――殺られる……!!!


振り上げられた魔物の手の爪が、頭上にきらめいた。

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