記憶を持つ者
本当は、魔王の知り合いだと思わせれば、上手く切り抜けられるだろう、と考えていた。

まさか、“様”を付けるかどうかで逆に怒りを買うなんて……。

目を閉じ、頭を手で抱える。


―――それでも、昔から、神頼みをした事はない。

やっぱり、神に愛する感情を隠された事が、根本にあったのかもしれない。


と、瞬時にそこまで考えが至った瞬間。


「ギャ――――!!!」


「えっ?」


悲鳴を上げたのは、私ではなく、魔物の方だった。
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