記憶を持つ者
喜んだのも束の間、すぐに疑問は沸いてきた。


有り得ないはずだ。


このコ達は、私の想像上の生き物。実際にいるわけがない。


でも、だったら、今撫でているのは…?


「見事だな。ユイ。」


突如聞こえた魔王の声にハッと顔を上げると、再び部屋の中に戻っていた。

ニコルとニカルはピッタリと隣りに寄り添っていて、夢じゃなかった事に安堵する。


「先程は下等と言ったが、取り消そう。」

「どういう事?」

「力を試さんとして、お前を外へ飛ばしたのは私だ。だが、見事な術だった。」

「術?そんなの、私に使えるわけが…」


魔王と…少し離れた所に座る白牙の目は、私の両隣りに向いていた。
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