記憶を持つ者

「このコ達が何なのか、知ってるの…?」


ほとんど無意識に、そう尋ねていた。魔王は少しだけ眼光をきつくして、答える。


「お前が生み出した魔物だ。」


―――魔物?さっきまで目の前にいた奴等と、このコ達が、同じ種族?

―――しかも、何?“生み出した”って…。


その答えを信じられない気持ちは表情に出たらしく、そんな私を見た魔王は、面倒そうに溜め息をついた。

ニカルが小さく唸るが、その眼光に気圧されて、すぐに私の後ろに隠れてしまった。


「簡単に言うと、ユイの中の負の感情が形になったもの。それが、そいつらだ。
その顔から察するに、危機的状況だった為、無意識に召喚したのだろうがな。」
< 29 / 97 >

この作品をシェア

pagetop