記憶を持つ者
私が小さい時に空想で生み出した2匹は、私の負の感情を糧にして実在する魔物となり、密かに私の側に付き添っていたらしい。

白牙から聞いた詳しい話によると、そういう事だ。


魔王が席を外している間に、私は2匹と共にベッドに座り、くつろいでいた。白牙に対しては、警戒心が強いニカルも唸ったりしない。


「こんなに可愛いのにねー。守ってくれるなんて偉いなー。」


そう褒めた私を、白牙は不安そうな顔で見ていた。


「何?」


「お前をココに連れて来たのは、間違いだったかもしれない。」

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