記憶を持つ者
第一の試練~断ち切るモノ~

自分が気付かないうちに、
まだ理解しないうちに、
どうやら私の身の振り方が決まったらしい。
白牙は、魔王と話すと言って部屋を出たきり、戻らない。

魔界に来て初めての夜。


心細くて、ニコルを抱き締めた。


ニカルは部屋を散策していたが、すぐに近付いて来てくれて、2匹に囲まれる形でベッドに寝転がった。


「…会えると思わなかった。不思議だよねー…私、これからどうなるのかなぁ…。」


外の、墨を塗ったような暗闇が目に入るのが嫌で、目を閉じた。


違うワールドへ来た時も寝ている最中だった事を思い出したが、もう疲れていて。
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