記憶を持つ者
さて、私の呪術の腕前は、どうかと言うと。


「式神は上手く作れるようになったな。…ただ、見た目にこだわりすぎだ。」


「だって、可愛い方がいいと思って。」


「確かに、お前の式神第一号のニコルとニカルは可愛いかもしれないが、式を綺麗な形にしようとすると、本来なら力が劣るヤツが出来る。あの2匹が特殊なだけだ。」


…と、まぁ、順調に上達している。魔王が口にした意味深な言葉や自分の状況を考えずに、ただ術の練習に取り組んでいたのは、たったの7日間。

でも、とても楽しかった。

白牙がいて、ニコルとニカルは幽閉されていたけれど無事なのは確かで、敵なんかいなかった。


魔王は、敵と言うのか微妙な感じだったし。


単純に、

こんな感じの日々が続くのかと。


勘違いしてしまうほどに。
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