記憶を持つ者
ホッとしたものの、まだ見つかっていないというだけの危うい状況に変わりはない。

会話をする声はどんどん近付いて来るのだ。

取りあえず、壁に沿い、元来た廊下を音を立てないようゆっくり慎重に2m程戻った。


「まず、ユイが本気でお前とやり合うわけないだろう。あいつは、本気で人を憎んだりできない。だから――」


「それは知っている。…こちらから仕掛けるつもりだ。」


「…何が目的だ、レン。」


以外とよく聞こえるので、立ち止まり聞き耳をたてた。

会話をしていたのは、魔王と白牙。

なのに、いつもとは様子が違った。
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