記憶を持つ者
起きたら私は18歳になる。

“成人”になってから初めての誕生日だ。

職には就かず、学業を続ける道を選んだものの、まだ何を学びたいか決めていない。

けれど、18歳になったら…


18歳になったら、自分の道を決める。


そう決意していた。

だから、特別な気分だった。
そのせいか、珍しく自然と目が覚め、折角起きたのに二度寝しないよう、思い切り背伸びをする。

そして、いつものように一人で朝の挨拶をした。

「ん~おはよー。」


「あぁ。」


普段は、返事がない。これは一人暮らしなので当然。

じゃあ、今、返事があったのは……?


「自力で起きたか。」

「キャーーー!!!!!」

朝日に光る銀色の髪を見た瞬間、私は再びベッドの中に戻った。

これが、一回目の異世界への移動だった。

…と理解するのは、この数分後、二回目に目が覚めた後なのだけど。
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