記憶を持つ者
呆然としてただ直立している私の目の前に来たヤイバは、精悍な―――けれど優しそうな笑顔を作った。
もちろん半分は兜のせいで見えなくて、正直なところ、がっかりしてしまったのだが。
至近距離だと、その爽やかな空気がよりはっきりと感じられて、本当に自分が作った式なのか疑わしい。
「ユイ様。」
「ぇ?あ、はい!」
「…魔王とは、私が戦います。必ず、あの2匹を取り戻せるはずです。」
「ちょっと待って。何で、そこまで知ってるの…?」
「―――気付いていないのは知っていましたが、それでも……本当に、私の事を知らないのですか?
私は、常に貴女の側にいました。
やっと今、貴女が私を必要とし、此所へ呼び出した。だからこうして会話が出来ているだけの事。
私にとっては、貴女と共に在るという状況は変わっていません。」
もちろん半分は兜のせいで見えなくて、正直なところ、がっかりしてしまったのだが。
至近距離だと、その爽やかな空気がよりはっきりと感じられて、本当に自分が作った式なのか疑わしい。
「ユイ様。」
「ぇ?あ、はい!」
「…魔王とは、私が戦います。必ず、あの2匹を取り戻せるはずです。」
「ちょっと待って。何で、そこまで知ってるの…?」
「―――気付いていないのは知っていましたが、それでも……本当に、私の事を知らないのですか?
私は、常に貴女の側にいました。
やっと今、貴女が私を必要とし、此所へ呼び出した。だからこうして会話が出来ているだけの事。
私にとっては、貴女と共に在るという状況は変わっていません。」