工場裏の宇宙ネコ
20.そこに光がある限り
何も見えない

何も見ることが出来ない世界に今わたしは一人でいる

暗い海の底へと沈む様に、どんどん深い底へに落ちて行く感覚がする

遠くに声が聞こえる

わたしは耳を澄まして声を聞いた
その声は徐々に遠のき、そして聞こえなくなっていった

ただ沈んでいく感覚だけになり、わたしの周りは他に何もない世界になった


暫くして、足の裏に感覚を感じた

海の底にたどり着いたのかな
足が地面についている様な感じがする


さっと風が吹き抜けて、懐かしい匂いがした
ゆっくりと目をあけるとそこに一面の緑が広がっていた

ここはどこだろう?

見渡す限りの草原、青い空に眩しい太陽と所々に浮かぶ雲、どこからか小鳥の囀る声も聞こえる

草の匂いの風が吹いて気持ちがいいな
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