工場裏の宇宙ネコ
あ‥

どこからか音楽が聞こえて来る
このメロディー‥聞いた事ある様な気がする

わたしは音のする方向に耳を傾けていた
するとその音は、わたしのすぐ後ろまでやってきた

透き通る様な六弦の音、美しい音色だな

そうだ、このメロディーは知っている
わたしはよくこのメロディーで歌ってたんだ
1つ1つ泡がはじける様に思い出していく

わたしは歌いたいと思った

そう思った時、わたしの名前が呼ばれてやっと振り返る事が出来た
そこには、わたしのよく知っている顔が笑っていた

その顔にわたしも笑顔で微笑む

そうだ、ここはよく来たことがあるあの場所なんだ

知ってる顔はわたしに歌おうと言っている

わたしは歌った

楽しいこの時を、もう忘れたくないと思いながら
でも、その笑顔にはもう二度と逢える事はない様に想えた

 こんなに笑っているのに

 こんなに歌っているのに

 そしてこんなに‥


 愛していたのに
< 143 / 175 >

この作品をシェア

pagetop